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更新:2018年08月26日(日)
【福岡県糸島市】陶器作りは面白い |うつわと手仕事の店研・敦賀研二

民家が立ち並ぶ一角に存在する「うつわと手仕事の店 研」。木でつくられた茶色い建物と、そこに書かれた看板の白い素朴な文字に、なんとも言えない温かみと優しさを感じる。お店の中に入ると、陶器を中心に個性溢れる様々な作品に迎えられた。
今回は、ここで陶器を作り、他の様々な作家さんの作品も販売されている敦賀研二さんにお話を伺ってきました。


陶器作りのきっかけは大学時代
—もともと陶器作りは結構されていたんですか。
「いえ、してませんでした。そもそも陶器をやろうと思ったきっかけは、大学で単位がとれそうになかったからなんですよ。笑
卒業できないなら、生活の為に何かしないとと思って。その時、高校時代に授業で陶器を2,3個作った事がなんとなく頭に残っていたんです。」

「授業では作って、削って、形を整えるところまでしましたが、作っていて面白いなと思いました。
何もないところから物ができて、それで生活ができるなんて面白い。ひょんなきっかけから改めて陶器を作って生きていけたら良いなと思いました。
それから大学をやめて、色んな人の話を聞いてたら、素人でも雇っていただけるところがある、ということを知ったので師匠に弟子入りしたという訳です。」
陶器作りはおもしろい
—大学時代の単位がきっかけで始まったなんておもしろいですね(笑)
「陶器がおもしろいなとは思っていたので、どうせならおもしろい事がやりたくて。笑」

「一人で生活できるか分からなかったけど、とりあえず雇ってくれるところがあればそこへ行こう、駄目だったらその時考えよう、と考えていました。
それで雇ってもらえるってことだったので、5年間弟子入りをした後独立をして、糸島に。」
—糸島を選んだ理由というのは。
「師匠や他の作家さんに「糸島が今おもしろいよ。」と言われた事ですかね。
福岡がいいかなとはなんとなく思ってて、福岡の近郊も色んなとこ行ってみたんですよね。」


「その時ちょうど陶器をやってた人が引っ越す事になって、工房付きの家が空く、という事だったのでそこに入ることにしました。
タイミングが良かったですね。そのような理由で糸島独立する事になりました。」
器の雰囲気を一番決めるのは「色」
—研さんの陶器作りでのこだわりはを教えてください。
「釉薬を配合して、色を自分で作るところからする事ですね。私は絵が描けないので、そうなると器自体の雰囲気を一番決めるのは釉薬になるんですよ。
試行錯誤して色んな色を作っていこうと思ってて、釉薬の配合には一番こだわってはいます。」
「やっぱり同じ黒でも色んな黒があるし、青なら青でどんな青にしていこうか、なんて考えますね。
ちょっと釉薬の配合を変えただけで深い色になったり、綺麗な色になったり、変わっていくので。この選択や配分は大事なところだと思います。
あと青色の器に白い模様を入れているのも特徴になります。青色の器を作る人は結構いるんですけど、白を入れている人はなかなかいないので。」



「白の入れ方が結構難しくて、粘土によって合う合わないがあったりするんですよ。スポイトでつけて、しばらく乾燥させると落ちちゃったり。
そのようなことにならないように、粘土の相性とかも知らないといけないです。何度か試してみて、何回目かにやっとこれは良いかな、と分かるようになります。」
他の作家さんのつながりも大事にする。
—お店にある商品は全て研さんがつくられているのですか?
「陶器は全般自分で作っているんですが、ガラスなどは他の作家さんの物です。
糸島の作家さんはこの中にはいなくて、どっちかっていうと面白い作家さん、こういうのなかなか売ってないというような作家さんを探してここで売っています。手作りで良いものを知って欲しい。」
—糸島市の良さはどんなところにあると思いますか。
「福岡市が近いので、いろんな方に見てもらいやすい点ですかね。色んな作家さんと会うんですけど皆さんお客さんにいかに見てもらうかに苦労しているので。」

「また、糸島のモノづくりを知ってもらうための取り組みとして、糸島クラフトフェスというイベントを開催しています。
これもいかに見てもらうかっていうのを考えて、皆で立ち上げたものです。糸島の作家さんが集まって作品を販売をするものなんですが、これまでに、もう10回はやっています。
やったおかげで、自分にも自分以外の人にも横のつながりができました。そういう人たちで集まってデパートに出品したり、同業の人だけで集まって声かけあったり、色んな効果があったのでやってよかったなと思います。」
今やっていることを膨らましていく
—これからの意気込みや取り組みについて教えてください。
「これから挑戦したいこととしては、今やっている事を色んな風に膨らますことです。
例えば、青色の器には大体白い文様をつけているんですけど、その付け方のバリエーションも試してみたい。」


「形も、好評な形が今何種類かあって。それをずっと作るのも大事だけど、もっと他にも提案できるものもあるのかなと思っています。
もうちょっとこうしたら良くなりそう、という考えが頭の中にはあるんです。そういった頭の中にある新しいアイデアをを具体的に形にしていきたいです。」

敦賀研二 (つるがけんじ)
昭和45年大阪生まれ。大学中退後、小石原焼福島善三氏に師事。福岡県糸島郡志摩町(現糸島市)にて独立。
現在地に移転し、「うつわと手仕事の店 研」を開く。自然と触れ合いながら、糸島の海をイメージした釉薬を作るなどオリジナルの色、形を追求中。