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「自分で絞った牛乳は子どものようにかわいい。なぜ自分で作った牛乳はおしゃれしちゃだめなのか。中身も着る服も世界一の牛乳を作ろう」

食のミシュランガイドと呼ばれる国際味覚審査機構(InternationalTaste & Quality Institute)で、日本のミルクとして史上初の三ツ星を受けた、阿蘇市で酪農業を営む阿部牧場の阿部寛樹さん。九州北部豪雨や熊本地震を乗り越えて、最高のミルク作りをされています。

今回は祝日に取材に伺ったのですが、たくさんの方がお店に来られていました。阿部牧場のブランド【ASOMILK】【のむヨーグルト】は63℃30分で低温殺菌した、牧場の香りをふんわりと感じる自然な甘さが際出す一品。

苦労の末、世界に認められたミルクを作り上げたお話や、阿蘇への思いを伺いました。

なぜ手間隙かけた牛乳はおしゃれしちゃだめなのか。

元々は米農家だった阿部家。それを、阿部さんのお父様の代から牛を飼い始めたそうです。最初は手絞りからのスタート。次第に牛の頭数が増えて、母牛が50頭ぐらいに増えていきました。

「元々はグラフィックデザイナーになりたいと思っていました。でも、父が始めた酪農もそのままにはできない。父と話し合い考えたのは、絵描き師をしながら牛飼いはできんけど、牛飼いをしながら絵描き師はできるということです。」

元々ベンチャー気質だった阿部さんは、そのまま阿部牧場の二代目となり、お父さまの代では考えもつかないことをどんどんスタートしていかれました。

「自分で絞った牛乳はわが子のようにかわいいわけですよ。自分の生活に置き換えると、子どもとお出かけするときに子どもはおしゃれするでしょ?でも、なんで自分の牛乳は世の中に出て行く時、おしゃれしちゃだめなのか。せっかくなら、手間隙かけた商品だからこそ、着る物もかっこいいものを着せてだしてあげたい。」

元々デザインに興味があった阿部さん。8年前に作ったブランド【ASOMILK】を作るときも、当時一緒に仕事をしていたデザイナーの方とこんな話をしたそうです。

「世界一おいしい牛乳を搾ろうと一生懸命がんばるから、パッケージデザインも世界一を獲ってくれ。中身も外も着る服も世界一のものを作ろう。阿蘇は世界一なんだから、自信を持って世界一の商品作りをしよう」

「中身だけでなくパッケージも世界一を目指すことで、伝わっていくものがある。おおっぴらに口で『こういうこだわりがあって~』とか伝えなくても本当にいいものを作れば、結果的にこだわりなどは伝わっていくと思うんです。」

阿蘇の草原に恩返しをしていける仕事を。

——この阿蘇という場所で育ち、どのような思いで仕事をされていらっしゃるのですか?

「もともと農業は後継者がいない衰退産業の代表格でしょ?阿蘇で農業はメインの産業。その産業が衰退していっているわけです。」

「今度近くの小学校が廃校するんですよ。もう30人ぐらいしか子供がいないらしくて。なぜ、そうなるかというと若い人たちが地元を出ていくからですよね。」

「じゃあ、なぜ出ていくかというと、食べていくことができないから。すると、人も出て子供も減っていく。仕事が減っていくわけですよね。」

「だから農業をもっと稼げる産業にしていかないといけない。逆に考えると、農業がもっと稼げる産業になれば、もっと地域を盛り上げていくことができるんじゃないかと思うんです。

ちょうど取材をした5月から青々と茂る阿蘇の草原。冬から春先にかけて野焼きをし、春を越えて緑を茂らせます。

「私の場合は観光の資源でもあり、牛さんの餌でもある草原というものが背景にあります。この阿蘇の草原に対しては大きな感謝をしています。」

「草原のおかげで牛乳ができている。今まで草原に生かされていると考えているわけです。だから恩返ししていきたい。」

——この仕事をされて大変だったことや苦労されたことはありませんか??

「苦労かー。あんまり、苦労と感じたことは無いですね(笑)。もちろん、仕事に対しては色々チャレンジもして、失敗もあるけどそれも苦労と感じたことはありません。」

「例えば、今の牛乳工場を立ち上げるときには、全部自分でしていたので睡眠時間3、4時間とかでした。体力的にはきつかったかもしれないけど、楽しかったですよね。ずーっと仕事は楽しいんですよ。」

もっとワクワクする楽しいことをしていきたい。

ヨーロッパでも認められた阿部牧場の『ASOMILK』。これからの阿部牧場の展望についても聞いてみました。

「今私たちは牛乳を作ってます。牛乳ってそのまま飲めるし、発酵すればヨーグルトにもなる。アイスにも使えるし、料理にも使われる。用途がたくさんあるわけですよね。そして、その使い方はもっといろんなものでも使えると思うんです。」

「将来的にはやりたいことは山ほどあります。例えば、『ASOMILK』ブランドをどんどん大きくすると同時に、阿蘇で一緒に農業をがんばっている若い生産者の人たちと一緒に新しいチャレンジをしてみたい。

ナスでもトマトでも、イチゴでも。一緒にコラボしたりしたらまた新しいことが生まれるかもしれない。一緒に価値をあげていけると思うんですよ。そういう面白いことをして地域に貢献をしていきたいですよね。

上手くいかなくてもいいから、突拍子でもいいから、面白いことをまずはやってみたい。そういうチャレンジをすれば、阿蘇ももっと楽しくて、人が出て行かない町になると思う。

今回の取材は、とてもにこやかな笑顔でお話しをしてくださいました。

阿蘇の草原に育てられたからこそ、このまちに恩返しをしていきたい。ヨーロッパの人びとを驚嘆させた深い風味と、やわらかい甘みが生まれた『ASOMILK』。阿部さんは阿蘇の干し草の匂いのする世界一の牛乳をこれからも搾りつづけていきます。

プロフィール

阿部寛樹さん。1977年熊本県阿蘇市生まれ。牧草の品種改良や飼料用の稲栽培などを展開。ミルクプラントを建設し、自社ブランド「ASO MILK」を設立。11年、パッケージデザインの世界コンクール「ペントアワード」で酪農製品部門金賞を受賞。12年、国際味覚審査機構のコンクールで、国内牛乳で初の三ツ星を受賞。

http://www.aso.ne.jp/abe-farm/

(写真提供:阿部牧場)

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